アルツハイマー病の独立したリスクファクター!
〔ベルリン〕
アポリポ蛋白E(ApoE)のe4アレルがアルツハイマー病の重要な遺伝的リスクファクターであることは既に知られているが,そのApoE e4アレルとともに中年期の高コレステロール血症も,アルツハイマー病発症の独立したリスクファクターであることが,20年以上にわたる追跡調査から判明した。クオピオ大学(フィンランド)神経科学・神経学のM.Kivipelto氏が,第24回欧州心臓病学会(ESC)で報告した。
オッズ比が約3倍に
1972年,77年,82年,87年に実施された疫学調査FINMONICA研究とNorth Kareliaプロジェクトの参加者からランダムに2,000例を抽出し,98年に再調査を行った。97年末の時点で対象の年齢は65〜79歳であり,平均追跡期間は21年となった。再調査を拒否した症例などを除くと実際に再調査に参加したのは1,449例で,DSM−W基準により痴呆を,NINCDS−ADRDA基準によりアルツハイマー病の診断を行ったところ,57例が痴呆で,そのうち48例がアルツハイマー病であった。痴呆や軽度の認知機能障害を呈した症例を除いた1,270例を対照群として,アルツハイマー病群と比較した。
その結果,中年期の高コレステロール血症〔血清総コレステロール(TC)値が252mg/dL以上〕が後年のアルツハイマー病発症の独立したリスクファクターであることがわかった。ApoE e4アレルやその他のさまざまな因子(年齢,教育程度,性,心筋梗塞や脳血管障害の既往歴,喫煙,飲酒)で補正しても,やはり高コレステロール血症は独立したリスクファクターであることに変わりはなかった。多重ロジスティック回帰分析を行ったところ,TC値が252mg/L以上では252mg/dL未満と比べてオッズ比が2.9倍〔95%信頼区間(CI):1.4〜5.7〕となり,補正後では同2.8倍(95%CI:1.2〜6.7)となった。ApoE e4アレルもアルツハイマー病の独立したリスクファクターであり,補正後も同様であった(オッズ比はともに2.1倍,95%CIはそれぞれ1.2〜3.7,1.1〜4.1)。
以上のように,中年期の高コレステロール血症がApoE e4アレルとは独立して,アルツハイマー病の病因になんらかの役割を果たしている可能性が示されたことから,「アルツハイマー病のリスクを低減させるための1つの手段として,高コレステロール血症の予防や早期治療は有益かもしれない」とKivipelto氏は結論した。
私の感想
高コレステロール血症が、アポリポ蛋白Eのタイプとは関係なく、アルツハイマー病の危険因子であったという点が、この論文の一番のポイントです。
オッズ比に関しては、下記ページを参照下さい。
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/EBMbeppu0103.shtml