60歳を過ぎると、5年経つごとにAD(の有病率)は倍になる。60歳の1%がADに罹患しており、65歳では2%、70〜74歳では4%、75〜79歳では8%、80〜84歳では16%、85歳以上になると30から40%の人が罹患!
標準的治療:患者の典型的な治療としては、症状がかなり悪化するまで3〜5年間治療を行うこと!
アルツハイマー病(AD)は、進行性の脳疾患であり、記憶、言語、見当識が障害される。患者にはしばしば、無関心、興奮、鬱病(うつ病)、精神病など行動上の変化が見られる。いったん罹病すると、約10年以上にわたって進行し続け、やがて死に至る。ADはごくありふれた疾患であり、数多くの高齢者を抱える社会では、ますます重要になってくる課題である。
米国におけるADの有病率
60歳を過ぎると、5年経つごとにAD(の有病率)は倍になる。60歳の1%がADに罹患しており、65歳では2%、70〜74歳では4%、75〜79歳では8%、80〜84歳では16%、85歳以上になると30から40%の人が罹患している。85歳以上の人口が、米国をはじめとして多くの国々で急速に増加している。したがって、ADの罹患率も急速に増加している。
コリンエスデラーゼ阻害剤治療の重要性
アリセプトのようなコリンエステラーゼ阻害剤を用いる治療は、目下のところ米国および世界中のAD治療の頼みの綱である。アリセプトは、治療を受けているAD患者の3分の1の記憶力および思考力において明らかな改善をもたらし、AD患者のうち約80%において機能の低下を遅らせる。エビデンスの増加により、記憶機能の向上に加えて、コリンエステラーゼ阻害剤は患者のADL(自分で髪をとかす、自分で食べる、家事を手伝うなど)を向上させ、異常行動(無関心、幻視など)を減少させ、施設への入所を遅らせる効果があることが示喚されている。このように、コリンエステラーゼ阻害剤は多次元にわたる効果を示し、ADの治療に大きく貢献している。
アリセプトは投与もモニターも容易である。米国では1日1回5mgより投与を開始し、副作用がない場合は1カ月後に1日10mgに増量する。最も一般的な副作用は、悪心、嘔吐、腹痛、下痢である。このような副作用の発現頻度は、アリセプトの1日5mg投与においてはプラセボと同等である。1日に10mg投与では約15%の人に発現する。もし、10mgの投与で副作用が発現した場合は、いったん5mgに減量し、ある期間様子をみた後、再度10mgに増量する。
患者の記憶力、行動、興味が改善したかどうかをみるためには、介護者からの評価により薬効に対する反応を調べる。患者の典型的な治療としては、症状がかなり悪化するまで3〜5年間治療を行うことである。もしアリセプト投与を中止し、患者が急激な悪化を示したら、その患者はアリセプトに対してひきつづき反応しているということを意味するので、投与の再開を考慮すべきである。
(ジェフリー・L・カミングズ=UCLA精神医学および生物行動科学教授)
CLINICIANという雑誌は、エーザイが発行している雑誌ですので、アリセプトに好感を持って記載されがちな部分があるということは念頭に置いて上記の文章は読んでいただきたい(例:日本では脳代謝改善薬の漫然投与が制限される傾向にあるので、効果があるかないかを判断し、無い場合には漫然投与を避けましょうという話が出てくる可能性もあります。しかし効果があれば、「症状がかなり悪化するまで3〜5年間治療を行うこと」という方針で良いと思います。)と思いますが、一点注意を申しますと、日本では10mgという使用量は認可されておらず、1日1回3mgから開始して、1〜2週後に5mgに増量するという用法となっています。