アルツハイマー病・発症予測は研究途上

 遺伝子検査・強まるルールを求める声!


 遺伝子解読技術の急速な進展で、身近な病気に関係する遺伝子が次々に突き止められ、一部では「発症の危険が予測できる」とうたった遺伝子検査への利用も始まっている。しかし、「現在の研究レベルでは発病の予測などとても無理」とする遺伝医学の専門家らは「一般診療の場で行うべきではない」との声明を出すなど抑止に懸命だ。受診者の不安や混乱を防ぐため、包括的なルールを求める声も強まっている。

 

▽ショック

 「アルツハイマーになると言われたんです」。国立大で初めて遺伝子診療部が設置されたことで知られる信州大病院に、二、三か月前、ひどくショックを受けた様子の女性から電話がかかった。

 別の施設で遺伝子を検査され「アポリポタンパクE4(アポE4)」遺伝子を持っている、との結果をいきなり告げられたという。

 この遺伝子は、欧米での大掛かりな調査の結果、白人ではアルツハイマー病にかかるリスクを高める危険因子のとされている。だが、発病の頻度や年齢が白人とは異なる日本人について同様の研究は少ない。

 「日本人が将来アルツハイマー病にかかる可能性をアポE4で予測するのは全く不可能」(池田修一・信州大医学部教授)というのが専門家の意見だ。

 がんなどについても、関係が深い遺伝子は見つかっているが、発病には複数の遺伝子に環境要因も絡む。新川詔夫・長崎大医学部教授(遺伝医学)は「多くの遺伝子と発病の関係は、まだやみの中だ」という。

 

▽遺伝子ドック

 日本人類遺伝学会など遺伝医学関連の六学会は五月、発病リスクを予測する遺伝子検査について「科学的な評価が定まっていない」として、実施は時期尚早との見解を発表した。

 毛髪でその人の「肥満体質」を調べる遺伝子検査をしていた三菱化学ビーシーエルなど複数の検査会社は、これに呼応して検査の受注を白粛したり縮小した。

 一方「たとえ予測が完全でなくても、遺伝子検査を病気予防に積極的に役立てるべきだ」と力説する医師もいる。昨年四月に「遺伝子ドツク」を開設した九段クリニック(東京)の阿部博幸理事長だ。

 長めの綿棒で口内の粘膜をこすり、採った細胞の遺伝子を調ベる。これまでに約四十人が検査を受け、肺がん、循環器疾患などのリスクが高めと診断された何人もが、それをきっかけにたばこをやめた。

 「発病してからでは遅いと身に染みて感じてきた」と話す阿部理事長。「遺伝子だけが原因でないのはもちろん承知だ。だが一つでもリスクを知れば予防の努力ができるじゃないですか」と信念は揺らがない。

(中略)

 日本人類遺伝学会の松田一郎理事長は「最終的には遺伝子検査に関する国の指針が必要だ。その前に学会で包括的な指針を作り、検査会社や患者団体も加えた場で、問題解決の方策を話し合っていきたい」と話している。  

(参考文献:平成12年8月19日 茨城新聞・総合)

 

私の感想

 私もアルツハイマー病の正診率を向上するためにアポリポ蛋白の検査を行っておりますが、「発症予測」に利用するのは考えものであると思います。

 但し、「発症の予測としてはアポリポ蛋白E4を有している場合29%の発症率、有していない場合9%の発症率という程度にしか参考にはならないが、アルツハイマー病の診断の参考にする場合には結構有益である」ということをきちんとインフォームド・コンセントしたうえで検査するのであれば、それなりに妥当性はあると思うのですが・・・。

 

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