公費負担制度で5%に!
アルツハイマー病も対象疾患!
パソコンに打ち込んだ家計簿を見ながら、優美はため息をついた。会社員の夫・孝夫は、仕事のストレスからうつ病になり、会社を休んで通院治療している。夫の収入減に加え、自分のパート先も経営不振で、先行きが見えない。マンションのローン返済や子どもの学費を考えると、支出は一円でも抑えておきたい。「何かいい方法は」と悩んでいるとき、精神科ソーシャルワーカーの友人、綾乃が訪ねてきた。
「そういうことなら、もっと早く相談してくれればよかったのに」。綾乃はバッグの中からパンフレットを取り出した。そこには「通院医療費公費負担制度」の説明が書かれていた。
この制度は精神保健福祉法三二条で定められ、医療・福祉現場では通称「三二条」と呼ぶことも多い。現在、高齢者などを除き、医療費の自己負担は三割になっているが、この制度を使うと自己負担が5%で済む。市町村によってはこの5%に対しても補助する制度がある。通院治療に限られ、入院には適用されない。「他人に知られるんじゃないかと心配する人もいるけど、そんなことはないから安心して」と綾乃は説明する。
対象に在るのは、長期の治療が必要なうつ病や統合失調症、アルコール依存症など。症状の重い神経症にも、適用される場合がある。「本人の状態によって判定されるんだけど、休職しなきゃいけないほどなら、まず認められると思うわ」という。
新たに申請する場合、本人が住んでいる市町村の窓口に、申請用紙と所定の医師の診断書を提出する。病院やクリニックによっては、本人に代わって手続きを進めてくれる。診断書の作成は有料で、数千円のケースが多い。その後、保健所を経て、各都道府県や政令指定都市にある精神保健福祉センターで複数の精神科医が適否を判定する。患者本人が直接、審査を受けることはない。
適用になると、本人か、受診している医療機関へ「患者票」が送られる。申請から患者票の交付には数週間から一カ月ほどかかる。有効期間は二年で、更新もできる。住所が変わったり、受診する医療機関を変えたりしたときは、変更の届け出が必要になる。注意したいのは、制度の対象は健康保険適用の診療や薬代などで、保険外で受けたカウンセリングは自己負担になる。また適用以外の疾患、例えば風邪で受診した場合は、自己負担が三割になる。
「そんな制度があるなんて、知らなかったわ」という優美に、「そこが問題なのよ」と綾乃は語気を強める。「病院やクリニックによって、きちんと説明してくれるところと、教えてくれないところがあるの。申請するか判断するのは本人だけど、経済的に因ってる患者さんや家族は多いんだから、情報はちゃんと提供しなきゃ」。詳しくは市町村窓口や保健所、受診している医療機関で相談したい。
制度をめぐっては、財政的な観点から所得による制限や負担率見直しなどの議論が起きている。「財政問題は無視できないけど、社会全体でみれば、患者さんがきちんと治療を受けられないために起きる損失も大きいわ。患者さんや家族を切り捨てるようにはしてほしくないわね」
(構成・田島 真一)
私の感想
老人医療費では自己負担額は通常一割負担(10%)です。「三二条」を利用すると、5%の自己負担で済むため5%の減額となります。しかし、診断書料などで通院医療費公費負担制度申告のメリットが相殺されてしまうため、ほとんどの方は、この制度を利用していないのが現況です。
ですが、老人医療費でない3割負担の方は、30%−5%=25%の減額となり、申告のメリットは大きいので、申請をお勧め致します。
なおこの制度ですが、アルツハイマー病も対象疾患になります。しかしながら、アルツハイマー病の場合、痴ほう症状の他に幻覚症状・妄想あるいはうつ状態が合併していることが「認可の条件」となっているようです。