早期診断に有用だが疾患特異的ではない!
アミロイドイメージングによるPittsburgh Compourd
B(PIB)集積により,AD進展過程の最も上流にあるAβの蓄積を捉えることができ,発症前診断や根本治療薬の効果判定への期待が高まっている。東京都老人総合研究所ポジトロン医学研究施設の石井賢二副部長は,アミロイドイメージングによるAD診断の有用性などについて,最近の研究や自験例から概説。アミロイドイメージングはADの超早期診断に有用であるが,PIB集積はADに特異的なものではないことを強調した。
他疾患との鑑別にも
最近,軽度認知障害(MCI)を対象としたメルボルンのコホート研究とピッツバーグのコホート研究により,2年間の追跡期間中のMCIからADへのコンバート率がPIB陽性群でそれぞれ80%,40%と,PIB陰性群の8%,0%に比べ明らかに高く,PIB陽性MCIは高率にADにコンバートすることが報告された。すなわち,PIB陽性のMCIにはAD発症前の早期例が高率に含まれており,アミロイドイメージシグはADの超早期診断に有用であると言える。
実際,石井副部長らの検討ではPIB陽性はAD発症例で100%,健忘型MCI例では60%であった(図)。

ただ,健常老年者でも10〜20%存在し,これは発症前のADを捉えているのかが今後の課題である。また,US-ADNI(Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative)の経過報告では,PIB陽性はAD発症例で87%、MCI例で75%であったが,健常老年者では53%という結果で,これについては多施設での研究であることから,カットオフ値の設定の問題が指摘されている。
また,アミロイドイメージングによりPIB集積の有無を見ることは,MRIやFDG−PETで鑑別できなくても,非アルツハイマー型認知症とADとの鑑別診断やADの除外診断にも有用である。
一方,ADの脳の病理学的特徴は老人斑と神経原線維変化の両者が存在することであるが,Aβと結合するPIB集積を見るアミロイドイメージングは老人斑の程度を見ているにすぎず,ADに特異的な診断法ではない。実際,PIB集積は,Aβ蓄積を伴うレヴイ小体型認知症やアミロイドアンギオパチーなどでも報告されており,アミロイドイメージングは非アルツハイマー型認知症の診断や病態解明にも応用が期待されている。
同副部長は「アミロイドイメージングはADの超早期診断やAβ蓄積の定量評価,ADと他疾患との鑑別などに有用であるが,ADを特異的に診断するものではなく,Aβ蓄積を見るトレーサーである。今後は,長期前向き研究により,技術的標準化や擬陽性・偽陰性の問題,病理所見との対比・AD発症の可能性や時期の予測の可能性などを明らかにしていく必要がある」と述べた。
私の感想
『ADの脳の病理学的特徴は老人斑と神経原線維変化の両者が存在することであるが,Aβと結合するPIB集積を見るアミロイドイメージングは老人斑の程度を見ているにすぎず,ADに特異的な診断法ではない。』という部分に集約されるのだと思います。
そして課題は、文中にも記載されているように、『健常老年者でも10〜20%存在し,これは発症前のADを捉えているのかが今後の課題である。』という部分が最大の問題点です。
因みに、文中の、「擬陽性」ですが、『「似ている」「それに近い」といった意味で、すなわち「擬陽性」とは、「陽性までは行かないまでもそれに近い状態」ということになります。陽性を(+)、陰性を(-)、そして擬陽性を(±)と表記します。』という意味を持った用語です。