痴ほう高齢者

 

 介護保険導入 逆効果!

 要介護認定にも問題 実態よりも軽い傾向!

 在宅ケア 行き場失う!

 主治医は積極的に「不服申請」提出の進言を!


 導入から1年あまりを経た介護保険制度の中で、痴ほう性高齢者の在宅ケアの問題点を指摘する声が多い。主な問題のひとつは、在宅介護の命綱ともいえるデイサービスとショートステイが、むしろ使いにくくなっていることだ。背景には、痴ほうのお年寄りに適した個別の対応が、介護保険制度の仕組みに合わないことや、要介護認定が実態より軽くなりがちなことなどがあるようだ。

(針原 陽子)

(中略)

 デイサービスやショートステイが利用しにくくなった背景には、要介護認定の問題もある。

 北海道釧路市のケアマネジャー・上堀百合子さんには苦い思い出がある。昨年担当していた80代半ばの女性は、頻繁な徘徊があったが、日常生活はほぼ自立の状態。家族は「最後まで家で介護したい」と希望、介護保険導入前は、デイサービスを週6日は利用するほか、ショートステイも時々利用していた。

 しかし新制度の下、「要介護1」と判定され、利用できる介護サービスが制限されることに。このため、デイサービスを週5日に減らしたところ、女性はデイサービスを利用しない日に徘徊を繰り返し、行方不明になった。深夜に保護されたが、近所からも苦情が出て、家族は仕方なく老人保険医施設の長期入所に切り替えた。

 このように、徘徊が激しくても日常生活はほぼ自立している人を、「元気痴ほう」と呼ぶ。家族の介護負担は大きいが、要介護度は低くなることが多く、サービス利用量は限られる。上堀さんは、「痴ほうの要介護認定は今も不安定なままだ。早く改善してほしい」と訴えている。

 

報酬体系など見直し必要

 平野隆之・日本福祉大学教授(地域福祉)

 「介護保険の枠組みは、寝たきり老人など身体に障害のある高齢者向けであって、痴ほうの人に対しては、いくつか改善が必要だ。要介護認定は、痴ほうの状態をうまく反映できておらず、要介護度が低くても、サービスが少なくて済むとは限らない。ほかの指標も使って痴呆の場合は加算するなどの対応を、自治体が独自に考えるべきだ。また、介護保険でサービス利用者が増えており、大人数の中では有効な痴ほうケアは難しい。措置時代にあった、毎日使える小規模なデイサービス(E型デイ)など、痴ほうの人に適したサービスに事業者が向かうような報酬体系や自治体のバックアップ策を考えるべきではないか」 

(参考文献:平成13年5月29日 読売新聞)

 

私の感想

 やはり上記のような問題点は、私も多くの痴ほう症患者さんの介護保険「主治医意見書」を記載しておりますので、経験してきております。

 やはり改善に向けて、認定の際に「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」を個々の自治体で導入するなどの改善策が必要と考えています。そして、介護度に「不満」を感じたら、主治医は積極的に「不服申請」の提出を家族に進言することが大切であると思います。

 具体的には、以下の指標を導入することなどが改善策として考えられます。

「アルツハイマー病の一般的経過」

アルツハイマー病第一期(発症1〜3年目)

 健忘症状、場所が分からなくなる、多動

アルツハイマー病第二期(発症2〜10年目)

 高度の知的障害、発語力の低下(失語)、行動がしにくくなる(失行)、妄想(もの盗られ妄想、他人が侵入してくる妄想)

アルツハイマー病第三期(発症8〜12年目)

 更に知的障害が進む。しばしば痙攣・失禁、過食、反復運動、錯語などもみられるというのが典型的な経過でなのですが、第一期(初期)は報告者によっては、2〜5年とも報告されております。

 

HDS-R点数と重症度

 軽度痴ほう  :19.10±5.04

 中等度痴ほう :15.43±3.64

 やや高度痴ほう:10.73±5.40

 高度痴ほう  :4.04±2.62 

(平均的にはアルツハイマー病の場合、HDS-Rの点数が年間2.5点ほど悪化します。)

 

 上記はあくまでも平均的な指標であり、テストというものはどんなテストでもそうなのですが、余裕を持って満点を取る方もみえれば、ぎりぎり満点を取る方もあります。

 ですからもともと知的レベルが高い方で、余裕を持って簡易長谷川式知能評価スケールで満点を取っていたような方にとっては、20点という点数は評価上は「ぎりぎり不合格」の点数ですが、実際にはかなり痴ほう症が進行しているのだということも多々あり得るわけです。この辺りの評価(判断)は、「経時的観察」をしっかりしていないと大変難しいことになります。

 

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