清水さんはアルツハイマ−型痴ほうが発症して二年目である。以前は中小企業の社長をしていて、パリパリのやり手だったらしい。
外来へ来始めのころは、まだまだしっかりしていて、家族の人が言わなければ、ポケているようには見えなかった。「どこがポケているのよ」。電話で親せきの人に奥さんは言われ続けた。人とうまく接することができてしまうのは、アルツハイマ−型痴ほうの初期に多い。
清水さんが一番困っていたのは、タ方四時ごろになると、自分の家にいても、必す「それじゃ、帰りますから」と言い出し、外へ出て行ってしまうことだった。社長とはいえ、常に同じようなリズムで生活していたので、元気なころには五時ごろいつも会社を出ていたのだ。奥さんは一生懸命に「ここは自分の家だから」と説明するのだが「いや、すぐ近くに家がありますから」そう言って出て行こうとする。そうなったら仕方なし、一緒に外へ出て、家の周りを回って、また自分の家に戻ってきた。
(米山公啓・天本病院内科医師)
私も「夕暮れ症候群」の介護で悩むご家族をたくさん診療しております。早く「徘徊老人追跡システム」が実用化されると良いですね。
うつ病の患者さんは、午前中調子が悪いことが多いのですが、アルツハイマー病の患者さんでは、夕暮れ時に調子が悪いことが多く、鑑別の参考になります。