アルツハイマー病に関する最新の研究

 経過を予測する公式で総合的な医療方針を!


 先ごろニューヨークで開かれた米国医師会(AMA)の記者会見で、アルツハイマー病に関するいくつかの最新の研究成果が発表された。

余命や介護の必要度を予測

 コロンビア大学臨床神経心理学のYaakov Stern教授をリーダーとする研究チームは、アルツハイマー病の経過を予測するための公式を考案したことを初めて明らかにし、「これは医師、患者、家族をはじめとする介護者が、総合的な医療方針を立てるうえで役立ちうるものだ」と述べた。

 Stern教授の研究チームは、軽症のアルツハイマー病患者236例を対象とした研究に基づいて、患者の平均余命のほか、将来の養護施設での介護もしくは家庭での全面介護の必要性を予測する公式を開発した。その結果、アルツハイマー病では発病してからの経過時間、診断時の年齢、精神衛生度検査の成績、運動能力、妄想や幻覚の有無などが、患者の予後の決定因子となることが分かった。

 例えば、アルツハイマー病が3年前に発病した76歳の女性で、精神衛生度検査が57点満点で45点だが、運動能力の低下、妄想あるいは幻覚はないという場合、4年以内に養護老人ホームでの介護が必要になる可能性が高い。

早期診断がQOL向上のかぎ

 また、復員軍人局外来クリニック(ホノルル)の専属神経科医、G. Webster Ross 博士らは「アルツハイマー病を早期に診断することが、患者のQOLを改善するためのかぎとなる」と指摘し、「早期に疾患を確認して、患者が家族と一緒に資金や介護について長期的計画を立てることができるようにすることが必要だ」と強調した。

 Ross 博士は「一般に自然な加齢の一部と考えられている認知能力の低下が、実際は痴呆である場合もあることは知っておくことが大切だ」と述べている。

 Ross 博士は「65歳以上の者は全員、通常の健康診断の一部として、精神衛生度のスクリーニング・テストを受けるようにすべきだ」とアドバイスしている。

早期診断が治療のかぎ

 米国立加齢研究所(メリーランド)加齢プログラム神経科学のMarcelle Morrison Bogorad 副部長は「早期診断を促進することができなければ、今後得られる新しい治療の機会も失われることになるだろう」と述べている。AMA理事のWilliam H . Mahood博士は「痴呆症患者1400万例、アルツハイマー病患者400万例という米国の現状を前にして、認知能力の低下について理解を深めることが必要だ」と強調した。

家族性アルツハイマー病ミ専門的なコーナーです

 全体の10%を占めると推定されている家族性アルツハイマー病は、非常に重篤で、30〜60歳に発症し、進行が非常に早い。

 家族性アルツハイマー病に関連する突然変異PS2(presinilin-2)は、正常PS2よりもアポトーシスをよりいっそう促進することが分かった。PS2はAPP(アミロイド前駆蛋白)を上昇させずにβアミロイドペプチドにより誘発されるアポトーシスに対する細胞の感受性を劇的に上昇させる。

アルツハイマー病増加に早急な対策を

 アルツハイマー病協会ロナルド・ナンシー・レーガン研究所(シカゴ)のZaven Khachaturian 所長は「現在われわれが手にしている治療薬や治療戦略は、増加する高齢痴呆患者の波を押しとどめるには不十分だ」と述べ、「ベビーブーマー世代が高齢化するとともにアルツハイマー病患者も増加すると思われる。その結果、医療や社会的コストはわれわれが賄いきれないレベルに達してしまうだろう」と付け加えた。

 現在の治療法は症状改善に焦点を当てたものだが、将来の治療法は、もっと早期での介入を目指したものになるという。

 Khachaturian 所長は「発症を5年遅らせるだけでも、有病率は半減するだろう」と説明した。

ビタミンEの成績は

 ピッツバーグ大学医療センター・アルツハイマー病研究センターのSteven Dekosky所長は「現在、薬剤は診断が下されてから処方されるが、われわれは症状発現前の段階で治療を開始したい」と語った。

 Dekosky所長は「selegiline(Eldepryl , Somerset社)(5J、1日2回)とビタミンE(1日、2000 IU)の併用でアルツハイマー病の進行がどの程度抑制できるかを検討した試験成績が近いうちに発表される予定だ」と述べた。

(参考文献:平成9年6月26日号、Medical Tribune)

 

 ビタミンEまたはselegiline(現在パーキンソン病の治療のため処方されているが、ビタミンEよりはるかに高価)を投与した比較成績では、効果は両者ともに同程度で、痴呆の進行を6〜7ヶ月遅らせることができた。ビタミンEとselegilineを併用しても、単独投与以上の効果は得られなかった。

(参考文献:平成9年7月17日号、Medical Tribune)

私の感想

 早期診断・早期治療がますます重要となってくる樣相を呈してきました。私も発症阻止という大きなテーマに取り組んでみたいと思いますが、先ずは早期治療成績をきちんと発表する予定です。

 

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