アルツハイマー病・新危険因子が発見される

 発病の恐れ3〜5倍!


 アルツハイマー病の新しい危険因子を、日本医科大老人病研究所などの研究グループが発見した。細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアで働く酵素の遺伝子で、特定の遺伝子型を持つ人は発病の危険率が3倍から5倍高いとみられる。新しい治療法の開発に結ぴ付くと期待され、成果は英医学誌「ランセツト」に近く発表する。

 研究は同研究所の太田成男教授、鹿屋体育大の松田貞幸教授、鹿児島女子短期大の中野恭子教授らが共同で実施した。

 アルツハイマー病には家族性(遺伝性)のものとそうでない一般のものがあり、家族性は全体のl割以下。家族性アルツハイマー病の原因遺伝子は3種類見つかっている。一般のアルツハイマー病の危険因子として、脂質代謝に関係するたんばく質の特定の遺伝子型が発見されているが、これらだけではすべてのアルツハイマー病は説明できない。

 太田教授らはミトコンドリアで働く複数の酵素の働きが患者の細胞で低下していることに注目し、そのうちのα−ケトグルタル酸脱水素酵素の遺伝子を調べた。 この遺伝子が人によって「AC」「AT」など6タイプに分かれることが明らかになったため、一般のアルツハイマー病患者25l人と、健常な同年齢の452人について、遺伝子タイプに差があるかどうかを分析した。

 その結果、患者には母親と父親の双方から「AC」タイプを受け継いだ「AC/AC」タイプの人が健常人に比べて多いことがわかった。「AC」を両親のどちらか一方からしか受け継いでいない人の割合は健常人と変わらず、「AC/AC」タイブが発病の危険因子であると判断した。この遺伝子タイブの人が必ず発病するわけではないが、それ以外のタイプの人に比べて発病の危険率が3倍から5倍高いと考えられる。また、この遺伝子が関係しているのは一般のアルツハイマー病全体の14%程度という。

 太田さんは「これまでに見つかったアルツハイマー病の原因遺伝子は優性遺伝の形式をとるが、今回発見した危険因子は劣性遺伝形式をとるのが特徴だ。ミトコンドリア酵素の活性の低下が関係していると推測され、ミトコンドリアを標的にした新しい治療方法が開発できるのではないか」と話している。

【青野  由利】 

(参考文献:平成9年11月7日 毎日新聞・総合&ニュースの焦点)

 

私の感想

 アポEだけで説明(発症予想)できなかった時代から、新しい時代への流れが見えてきたようですね。「アポE4」&「AC/AC」をともに調べれば、孤発性アルツハイマー病に関するかなりの発症予測ができる時代がやってくるのでしょうか。

 遺伝性アルツハイマー病もさることながら、多くの方の関心は圧倒的に頻度の高い孤発性アルツハイマー病に集まっているわけですから、非常に重要な研究課題となってきます。

 アポEは偽陽性率が高いことが問題となっております。健常者452人の中に「AC/AC」の方が何人いたのか知りたいところですね。Lancetの論文が出るのを待つことにしましょう。

 

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