抗痴ほう薬の開発進む

 アセチルコリンの働き促進!


 「何とかボケを治す薬はないか」−。高齢者の増加とともに痴ほう患者の問題もますます身近になってきた。痴ほうといえば、未解明のアルツハイマー病が大きな割合を占める。しかし、これまで明らかになった脳の病理的側面から、痴ほうを治すさまざまな抗痴ほう薬の研究が進んでおり、有効な薬も見つかりつつある。

 

▽脳機能改善薬

 痴ほうは、多数を占めるアルツハイマー型と、脳梗塞(こうそく)による脳血管性のものに大別される。現在、痴ほう患者は130万人といわれている。今後も増加することは間違いなく、抗痴ほう薬の市場は非常に大きい。

 しかし現在、日本では痴ほうに効く「抗痴ほう薬」として認可されている薬は1つもない

 実際に痴ほう患者に投与されているのは、痴ほうそのものではなく、痴ほうによって起こる徘徊(はいかい)や情緒障害、幻覚、妄想、自発性低下などの周辺症状を抑える脳機能改善薬だ。それでも症状が改善するので、家族とのコミュニケーションも戻り、患者の痴ほうも少しは改善されるなどの効果が見られる。脳血管性痴ほうは、脳梗塞で脳の血管が詰まって、その先に血が行かなくなって起こる。このため、まず脳梗塞を起こす原因となった動脈硬化や高血圧、高脂血症、糖尿病などの治療、予防が大切なことが分かっており、これを通じて痴ほうの進行を遅らせる方法が取られている。

 問題はやはりアルツハイマー型痴ほうだ。なぜか分からないが、脳の神経細胞が縮み死んでしまう。患者の頭の中では、脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」が減少することが判明しており、現在、抗痴ほう薬開発は、この物質の合成を増やしたり、働きを促進したり、逆に分解しないようにすることを目指しているものが大半だ。

 1993年には抗痴ほう薬として、米国で「タクリン」という薬が発売された。面白いことにことにこの薬は神経性毒ガスのサリンと同じ作用を持つ。アセチルコリンを分解する酵素を邪魔するわけだが、 サリンは酸素にくっついたら、絶対離れないのに対し、くっつき方が弱いだけという。

 

▽日本では治験中

 しかし、この薬は肝臓に対する毒性が強く、日本の製薬会社工−ザイが副作用のない第二世代の薬「ドネペジル」を開発、97年米国で認可され、昨年には欧州でも発売された。

 名古屋大病院の鍋島俊隆教授は「残念ながら肝心の日本では、まだ治験段階。発売には数年はかかるだろう」と指摘する。痴ほうの周辺症状改善薬として使われている中には、投与量を増やせば抗痴ほう薬として有効なものがあることが分かっているという。しかし、これも抗痴ほう薬としては認められないため、増量しての使用はできないのが現状だ。鍋島教授は「日本は、痴ほう薬の有効性を評価する制度がいいかげんで治験が進まない。日本で開発したいい薬が利用できず全くいらいらする」と話している。 

(参考文献:平成10年2月17日 中部経済新聞・メディカルニュース)

 

私の感想

 「痴ほうの周辺症状改善薬として使われている中には、投与量を増やせば抗痴ほう薬として有効なものがあることが分かっているという。しかし、これも抗痴ほう薬としては認められないため、増量しての使用はできないのが現状だ」の薬の代表が、アニラセタム(ドラガノン、サープル)なんです。日本の使用量の2.5倍内服することにより、イタリアでは抗アルツハイマー病として使用されているんです。

 

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