アルツハイマー型痴呆患者の施設入所に影響を与えるデイケアの効果について。

 デイケアの施設入所への影響!


 【抄録】 アルツハイマー型痴呆患者306名を、アンケート郵送法により1年ごとに最長3年間追跡調査した。施設入所あるいは死亡をエンドポイントとした。l年以上追跡できたのは209名で,このうちエンドポイントを迎えたのは54名であった。Coxの比例ハザードモデルの結果,年齢,性別,痴呆の重症度,主介護者の同居状態,介護介助者の存在,および他の在宅介護支援の利用状況を統制した後にもデイケアの利用はアルツハイマー型痴呆患者の施設入所などの危険率を有意に減少させることが示された。今回の結果は,介護者のデイケア利用の必要性とその意義の認識を深める必要があることを示すとともに,痴呆対策の保健福祉施策の策定に有用な示唆となると考えられる。

 【考察 】欧米ではデイケアの利用は痴呆患者の施設入所を遅らせることが繰り返し報告されている。今回の我々の結果から本邦においてもデイケアの利用は,年齢,性別,痴呆の重症度,主介護者の同居状態,介護介助者の有無および他の在宅介護支援の利用状況を統制した後にも,アルツハイマ一型痴呆患者の施設入所などの危険率を有意に減少させることが示された。この理由としては患者自身の認知機能や行動異常,精神症状を改善させることによるとも考えられるが,むしろ介護者の負担を減少させることによるとする考えが有力である。Panellaらは,デイケアの利用は施設への入所を遅らせるが,知的機能の進行速度を変えなかったことを報告しているし,Wimoらは,55例のデイケア利用痴呆忠者と44例の非利用痴呆患者を1年間迫跡し,ディケア利用群は非利用群に比し施設入所が有意に少なかったが,認知機能,日常生活活動,行動異常では有意な差がなかったことを報告し,施設入所の減少は介護者の負担を減少させることによると考察している。

(兵庫県立高齢者脳機能研究センター臨床研究科 博野信次) 

(参考文献:平成10年1月号 精神医学 p71-75 1988)

 

私の感想

 介護はアルツハイマー病の進行を遅らせるのではないかという意見もあってデイケアにも期待を寄せているのですが、今回の報告はこの考え方に否定的なようです。

 でも施設入所までの期間を遅らせるということは有意義なことですね。

 

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