アルツハイマー病(中編)

 進行を抑える新しい試み

 アリセプト:進行を9カ月ほど遅らせる効果


 脳の神経細胞が壊れて萎縮が進むアルツハイマー病の患者は日本に五十万人。だが、原因はいまだにわかっておらず、根本的な治療法はない。治療といえばこれまで、運動や手作業、会話といった日々の生活や介護の中での取り組みが中心だった。しかし、最近、症状の進行を遅らせる可能性のある新薬の開発が進み、近く国内でも初の治療薬が認可される可能性がある。薬だけではなく、食生活の改善が予防や治療に役立つという報告もある。変わりつつある医療現場から新しい試みを紹介する。

 

 都内に住む主婦Aさん(七四)は三年前、聖マリアンナ医科大東横病院(川崎市)で初期のアルツハイマー病と診断された。手紙が書けなくなり、料理をするのが難しい状態で、旅行先で、フロントに財布を預けたのを忘れて大騒ぎしたこともある。

 二年前に治療薬「アリセプト」の治験に参加、服用を始めた。すると行動が活発になり、周囲に関心がむくようになった。道に迷うので一人で外出しなかったのが、半年後には、家族の用意したメモを頼りに、一人で待ち合わせ場所に来られるようになった。

 このころをピークに、症状は少しずつ悪化、記憶障害も進んだが、夫(八一)は「病気の進行を少しでも遅らせられたのではないか。いまだに、それほど介護もいらす、夫婦で穏やかに暮らせるのは薬のおかげ」と喜ぷ。

 アルツハイマー病患者の脳では、記憶や学習を担う神経伝達物質「アセチルコリン」が減る。アリセプトはこれを防ぐ働きがある。日本の製薬会社エーザイが開発し、五十二カ国で認可された。日本でも治験が終わり、認可されれば国内初の治療薬になる。現段階では、個人輸入する人も多い。海外では病気の進行を九カ月ほど遅らせる効果が報告され、軽度や中等度の患者への効果が期待されている。

(中略)

 ただ、別に治験を進めた同大の山口登助教授(神経精神科)によると、記憶障害は改善せす、やめると症状が急に進む例もあったという。「アルツハイマー病は長寿の結果の病気で、特効薬はない。飲ませてみたいと考える家族は多いと思うが、過度の期待は禁物」と話す。

(以下省略) 

(参考文献:平成11年8月8日 朝日新聞・日曜版)

 

私の感想

 現状を客観的に評価したいい記事ですね。

 

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